20年経っても色褪せない『Bang & Olufsen』のオーディオ

Things

ちょうど20年前、初めて『Bang&Olufsen』のオーディオを目にした時の衝撃は今でもはっきり覚えている。秋葉原のヤマギワリビナ本館の一角に他のどのメーカーの製品とも似ていない斬新なデンマークデザインのオーディオが置かれていた。

当時はまだ扱っているショップも少なく、直接製品に触れられるショップは貴重だった。僕はそのコーナーから離れられなくなり、3時間ぐらいずっと音を試聴させてもらいながらカタログを食い入るように見ていた。自分なりにこだわって組んだシステムには満足していたのだが、バングの一体型システムで聴く音楽は全く別物のような気がした。とても温かみがあるというかアナログ的というか、うまく表現できないがスペック云々とは違う次元の職人的な音作りとでも言うのか。ハード面のデザインはデビッド・ルイスというデザイナーが手がけ、それと同じようにサウンド面も最終的には1人のエンジニアが認めたものだけが商品化されるというエピソードにすっかり魅了された。つまりエンジニア=サウンドデザイナーであり、人間の耳が最高の音と判断した音を忠実に再現するためのチューニングが施されているわけで、だからアナログ的であり人間味ある音と言えるのかもしれない。僕はそれから何度もヤマギワに足を運び、店員さんとも顔馴染みになり、持ち込んだCDを試聴させてもらい、悩みに悩んで「BeoSound Ouverture」というモデルを60回払いのローンで購入した。僕が少し無理をして手に入れた初めての『Bang&Olufsen』。20年経った今でも僕のベッドルームのオーディオとして大切に使い続けている。

iPodを外付けミュージックライブラリとして

再び人気のカセットテープも再生可能

いま改めて思うのは当時斬新だと感じた個性的なデザインが全く古くならずに普遍的な魅力を保っていること、住む空間やインテリアのテイストが変化しても違和感なく存在し、逆にその場所を洗練された上質な空間に変えるデザインとしての力があること、そして他に代わりとなるものがない唯一無二のプロダクトであること。僕の大切な愛機は、真夜中の静寂と同じくらい美しい音楽をこれからも優しく温かい音色で鳴らし続けてくれるだろう。