真夜中の静寂に寄り添う音楽ーキース・ジャレット編
真夜中の寝る前の時間は特別だ。一日の活動を終え、心身が解放され、自分の好きなことをしながらリラックスし、いつの間にか眠りに誘われている。
真夜中の静寂はそれ自体が美しい。でもその静寂を邪魔しないくらい小さいボリュームで音楽が流れている感じがたまらなく好きだ。自分一人の大切な時間にそっと寄り添う音楽、そしてその美しい音楽を聴きながら自然と眠りに落ちていくのが至福の時。
そんな時に僕が好んで聴いているアルバムをご紹介。第一弾はやっぱりキース・ジャレットになってしまう。定番中の定番であえて僕が紹介するまでもないのだが、実際に僕が寝る前に一番聴いているアルバムなのだから仕方ない。トータルで聴いている回数は奇跡の名盤「THE KÖLN CONCERT」のほうがはるかに多いが、真夜中に聴きたくなるのは断然『The Melody At Night, With You』。もともとリリースする予定ではなかった自宅スタジオで録音されたプライベートな作品。レコーディング時の聴き手は妻のローズ・アン・ジャレットたった一人。1996年に慢性疲労症候群でリタイアを余儀なくされ1999年に復帰するまでの闘病生活を献身的に支えてくれた妻に捧げたラヴソングのスタンダード。なんとロマンチックで愛情に満ちた作品か。妻への感謝の思いを込めて一音一音を慈しむようにメロディを紡いでいるこのアルバムを聴いていると心が静まり穏やかで優しい気持ちになれる。そしてきっと今夜も僕は幸せな気持ちのままいつの間にか眠りに落ちているのだ。