地元に愛されるレストラン喫茶『フレンズ』

Eats

僕が学生のころ渋谷への往復に東急本店通りを使う時は必ずこの店の前を通っていた。いつも大体同じような人達がそれぞれの時間を自由に楽しんでいる雰囲気がガラス越しに感じられたものだ。

やがて大人になった僕は思い切ってその店のドアを開けた。初めて入ったのにそんな気がしない。マンガを読みながら一服しているサラリーマン、きっと毎日食堂代わりにしている近所の人、カウンターでマスターとお喋りしている常連さん、なんだかここだけ時間がゆっくり流れている。というか昭和のまま止まっている。大きい写真付きのメニューも多分ずっと変わっていない。フードメニューが充実しているのはここがただの喫茶店ではなく“レストラン喫茶”だから。看板メニューは「オムハン」と「スパハン」つまりオムライスまたはスパゲッティにハンバーグの組み合わせ。僕の好物のオンパレードだ。こってり甘めのケチャップライス、細麺アルデンテのナポリタン、しっかり手作りの本格派ハンバーグ。デミグラスソースとケチャップが混ざり合う。もうそれだけで他は何もいらない。これが喫茶店の食事の完成形なのではとさえ思える。でも一番の強みはこの店を大好きで仕方ない人達が作り出すほっこりした空気と、いつもの定番メニューの美味しさがみんなを笑顔にしていることなんだと思う。地元に愛される名店とはそういうものだ。