『Personal Effects』藤原ヒロシ

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常に時代を牽引する稀代のクリエイター藤原ヒロシ。もはや彼に肩書きなど必要ない。氏の愛用品を紹介したフォロワーにとってはまさにバイブル的な本。

『Personal Effects』(最愛の,お気に入りの所持品)というタイトルのカッコよさ、こういうセンスが頭抜けている。2009年発売だからもう7年も経つのか。でも時々今でも読み返すし、新たな発見がある。もちろん既にアップデートしているアイテムもあるだろう。けれどこの本に掲載されているモノそのものより、氏が『Personal Effects』に求めるこだわりやそれが選ばれた理由のほうに興味がある。エリック・クラプトンと一緒にオーダーしたエルメスのギターケースと財布代わりの香港の輪ゴムが並列に扱われる振り幅の大きさ。どんなに有名で高価なものだろうが、逆にアノニマスでチープなものだろうが、藤原ヒロシというフィルターを通過するとき全てがフラットな状態でその中からアンテナに引っかかったものが残る。そして必然的にそれらは時代の流れや空気感、トレンドとリンクすることになる。音楽、ファッション、アート、ガジェット、車、そして食に至るまで様々なジャンルを網羅する氏の知識の広さと洞察、興味の対象は尽きることがない。最近ますます冴えまくっているディレクションやコラボレーションの活動を見るにつけ、2016年版現在進行形の藤原ヒロシ『Personal Effects』をぜひ公開してほしいと思っているのは僕だけではないだろう。