いま一番好きな雑誌『nice things.』

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毎号楽しみにしている雑誌『nice things.』。この雑誌は電子版ではなく紙媒体で読んでこそ価値があると思う。

最新号2017年1月号の巻頭特集は「部屋、家、私の場所」。取り上げるテーマが毎号興味深く、否が応でもページをめくりたくなる。「&Premium」の切り口と似ている部分もあるが、もう少し狭く深くニッチな部分に切り込んでいる気がする。紹介されている人物やお店などもまだあまりメディアに取り上げられていないことが多く、抽象的だが“陽というより陰” “動ではなく静”という印象(いい意味で)。全体的に陰影のあるアンダー気味の写真も雑誌のテイストに合っている。写真を大きく使うデザインや多めの余白、フォントや字間、ストーリーを感じさせるレイアウトなどディレクションも秀逸でまさに“今”の空気感を反映している希少な雑誌。そしてその感覚は絶対に電子版では伝わってこない。印刷のディテール、紙の手触り、ページをめくる時の匂いまで含めての体験があってこそ初めて感じるものだと思う。単に情報が欲しいだけなら電子版のほうが便利だし、それこそ「dマガジン」で読める雑誌ならコストもほとんどかからない。でも雑誌を読むという体験から得られる“時代の空気を読む”という感覚こそが紙媒体の存在意義ではないだろうか。だから僕は月に何度か必ず大好きな本屋に足を運ぶし、そこで偶然生まれる新たな出会いに期待しているのだ。そうやって見つけたのがこの『nice things.』という雑誌、ぜひ手に取ってみてほしい。

大好きなショップ「HOEK」オーナーご夫妻の自宅

グラフィックデザイナーのセンスあふれる部屋

無印良品ディレクターの部屋に配置された美しいモノ