『バタフライスツール』特別モデル数量限定復刻

Art-Design

世界中で愛されている日本を代表する家具『バタフライスツール』が誕生してから60年。発売当時の仕様を再現した特別なモデルが限定復刻される。

もはやこの椅子については説明するまでもないだろう。パリのルーブル美術館、ニューヨークの近代美術館(MoMA)など世界各国の著名な美術館に永久コレクションとして選定されている傑作中の傑作。戦後イームズのもとを訪ねた柳宗理氏が成型合板で作られたレッグスプリントの存在を知り、成型合板で何か作れないかと無意識に手を動かして塩化ビニールの板を熱で曲げて模型を作っていたら偶然このデザインが生まれたという逸話は有名。それは2011年に氏が亡くなったとき深澤直人氏が語った「柳宗理論」にも通じる。

柳さんは「手」で作り込むかたちを重んじた。頭で考えるより手が試行錯誤する。結果、出てくるものが「人間のかたち」だと言った。民藝などアノニマス(無名性)の美から学び、日常の美や用の美を目指した。今はコンピューターなどを使い、頭の中で構築したイメージを具体的に詰めて一つの実在を作ることが多い。これは僕の推測だが、柳さんはあえて、頭でイメージを持たないようにしていたのではないか。思考が先にあると、手を裏切ることになる。彼が手がけた横断歩道橋や高速道路の防音壁などは手で作れないけれど、自然物と工業製品が交わったようなデザインになっている。

実に興味深い分析だ。頭や図面で考えたデザインではなく、手が先に動いて生み出されたデザイン。だからこそ柳宗理デザインの様々なプロダクトは、ごく当たり前のように僕らの日常に存在し、日用品としての役割を淡々とこなし、暮らしに欠かせない道具となっているのではないか。気がつくと我家にもバタフライスツールをはじめ、エレファントスツール、ステンレスケトル、ステンレスボール、カトラリー、コフの缶切り(なんと最近製造中止に!)などのプロダクトがいつのまにか身近にあり、偉大なデザイナーの作品だと意識することもなく毎日普通に使っている。これがまさに究極の“アノニマス”と言えるだろう。

このたび限定復刻される『バタフライスツール』は発売当時と同じ今では希少なインドローズウッドが使用され、天童木工のエンブレムも1960年代のデザインが再現されるとのこと。これはなんとしても手に入れたい。2017年1月27日午後1時から申込開始、ただしわずか120脚限定、抽選になるのは必至だろう。多分当たらないだろうな、、、

「天童木工」特設ページ

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