Amazonプライムビデオ『ゲット・アウト』必見

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昨年公開時に残念ながら劇場に足を運べず、最もビデオ配信を待ちわびていた作品。期待をはるかに上回る面白さだった。

ネタバレになるので詳細は伏せておくが、物語前半の不穏な雰囲気と随所に散りばめられている“違和感”が、後半怒涛の展開の中で一気に見事な伏線に変わっていき「なるほどそういうことだったのか」と納得させられる。すでに3回観たのだが、毎回新たな発見があり、各シーンに隠された意味が次々と浮かび上がってくる。アメリカに深く根付く人種差別が背後にあり、単なるサスペンススリラーやホラーと片付けられない要素も多分に孕んでいる。監督のジョーダン・ピールは人気お笑いコンビ「キー&ピル」の一人で、なんとこれが監督デビュー作だそう。これだけ緻密な脚本を書き、映像化する才能は見事としか言いようがない。あと使用している音楽やSEがとにかく効果的でセンス抜群。なのでスマホの貧弱なスピーカーではなく、せめて再生能力の高いヘッドホンで楽しみたい。いま日本で社会現象を巻き起こしている例の作品といい、低予算でもこれだけ楽しませてくれる作品に出会えるところがまさに映画の醍醐味である。