僕の愛用バッグーゴヤール『サンルイGM』

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昔からとにかくカバン好きだった。ファッションのキーアイテムとしての役割もあるが、むしろ自分が毎日持ち歩く必需品を収納し整理し運ぶ道具としての機能美に魅かれていた。

だから雑誌の“カバンの中身拝見”みたいな特集には目がなかった。愛情たっぷりに徹底的に使い込まれたカバンのなんと美しいことか。そんな風にカバンを道具として使いこなせる大人に憧れた。

僕の日常で最も出番の多いバッグがゴヤールの『サンルイGM』。青山のLOVELESSが最初に日本でゴヤールの取扱いを始めて割とすぐに購入したのでもう10年以上使っている。今やゴヤールは日本でもすっかりメジャーになったが、僕がこのサンルイを使い始めた頃はまだまだ知名度は低いし、ただのビニールに見えるカバンがなんでそんなに高いの?みたいな反応が多くて全く理解されなかった。でも使ってみて誰しもが実感することだと思うが、とにかくフレキシブルで万能。内部は仕切りがなくしっかりマチもあるから不思議なほど大量のモノが入るし、逆に荷物が少ない時は薄い形状をキープし肩から掛けると身体にフィットする感じで収まりがいい。コットンとリネンを組み合わせたキャンバス生地に天然のアラビアゴムをコーティングした独自の素材はとにかく軽くて丈夫、耐水性もあってとりあえずこのトートバッグさえあれば安心みたいな存在。おかげで僕のサンルイは酷使しすぎて傷だらけ、穴もあいてヘタってきてるのだがこのクタクタな感じがたまらなく愛おしい。まだまだ頑張ってもらわないと。


それから杉綾模様と呼ばれる独特なモチーフのプリントはすべて職人のハンドメイドってことは意外と知られていない。繊細で美しい模様の一点一点の微妙な違いがゴヤールのオリジナリティという付加価値になっている。最近は街中でサンルイを持っている人と被ることが本当に多くなった。ただ明らかにコピー品とわかる偽ゴヤールが圧倒的に多いのも事実。素材はただのビニールだしプリントも大量生産の均一模様。本物のクオリティでないとこのバッグの本当の美しさや機能性、ポテンシャルの高さは絶対にわからないので残念で仕方がない。

4つの色を足してモチーフが完成