リビングの時計の最終結論はヤコブセンの『Bankers』

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リビングルームの壁掛け時計を何にするか、視認性よりむしろ部屋の雰囲気を決める重要なアイテムという観点で捉えるとなかなか決断が難しい。

というわけで、我家のリビングにもずっと不在だった時計。しっくりこないものを妥協して掛けるぐらいなら無いほうがマシだと思って放置していた。理想とするのはミニマルだけどただシンプルなだけではない、美しさと機能と個性を併せ持ったデザイン。なかなかハードルは高い。しかも我家のインテリアは例えば“北欧系”といったような統一感は全くなく、いわば僕の直感というフィルターで選ばれたあらゆるデザインテイストのものが混在している。イームズ、ヤコブセン、アアルト、スタルク、ディーター・ラムス、柳宗理、深澤直人、MUJI、USM、Bang & Olufsen、、。傍から見るとバラバラなのかもしれないが、このミックス感が僕にとっては最高に心地良い。うまく表現できないが、この個性豊かな空間を一つに束ねる役割のようなものを、僕は無意識のうちに「時計」というものに求めているのかもしれない。

デンマークが生んだ20世紀を代表する建築家アルネ・ヤコブセンが、晩年の最高傑作と言われているデンマーク国立銀行を設計した際に家具や水栓器具などと共にトータルデザインした時計が『Bankers』。一見細長い棒に見えるインデックスは12個のブロックに分かれていて、時間の推移に合わせて一つだけ黒く塗られたブロックが優雅なスパイラルを描くグラフィカルな文字盤は視認性が高く実に洗練されている。また文字盤の中心の明るく艶やかな赤がモノトーンの中で美しいアクセントになっている。まさに時空を超えた永遠のマスターピースといえるこの壁掛け時計を我家のリビングに迎えた。なんだか急に部屋の空気が引き締まったように感じる。