雑誌『relax』が僕らに教えてくれたもの
最近はdマガジンやKindle Unlimitedというサービスで雑誌を読むのが当たり前になっていて、ほとんど雑誌を買うことがなくなっている。
そんな中10年振りにあの伝説のカルチャー誌『relax』が1号限り特別復刊されるというニュースは今年のトピックだった。当時のエディトリアルスタッフが集結、流行に媚びない独自の切り口や独特な抜け感みたいなものがきちんと再現されていて嬉しかった。そう、relax=自由でユルくてスタイリッシュ。背表紙のコピーにも毎回グッときていたが、今回は「そろそろ自分が気持ちいいテンポってどんなだったかを思い出す時期かもね。」相変わらずキャッチー。今回の復刊で改めて思ったのは『relax』という雑誌がいかに自由で独創的な視点と感度の高さで毎号驚きと刺激を与えてくれていたのかということ。そして『relax』にしか表現できないことを毎回いい意味で僕らの期待を裏切ってやってくれていたんだということ。そんなことを再認識しながら昔の号を何冊か読み返してみたりした。やっぱり雑誌を1ページずつめくりながら読むワクワク感や紙の手触りや匂いはいいものだ。僕にとって最も思い入れのある特集はNo.44(2000/10)「SUPREME/イームズ」とNo.64(2002/06)「家具」。この2冊はもう内容を暗記してしまうぐらい隅から隅まで何度も読み返した。
Supremeのバックグラウンドを知ることでストリートカルチャーの一過性ではない本質を理解できたし、初めて見るイームズ・ハウスの衝撃、実はイームズとスケートが繋がっていること、デザイナーの渡辺力氏や若かりし日の中原慎一郎氏(LANDSCAPE PRODUCTS)、須摩光夫氏(hike)、黄瀬徳彦氏(TRUCK)らのインタビュー記事は本当に刺激になった。いつしか僕がのめり込んでいくことになるイームズをはじめとする家具やストリートカルチャーへの憧れみたいなもののいわば原点となっているのが『relax』の特集記事だったわけで、そういう意味ではこの雑誌との出会いが自分が本当に好きなものを見つけるきっかけだったり、もっと知識を広げたり深く掘り下げていこうという動機付けになっていたように思う。だから僕にとっての『relax』は単に一雑誌というより、いつも半歩ぐらい先にいてこんな面白い世界があるよと教えてくれるいわば先輩や友達のような存在だったのかもしれないな、なんて今になって思ったりしている。