道具好き待望『レイバー・アンド・ウェイト』初の海外路面店が千駄ヶ谷に
ロンドンの人気ショップ『LABOUR AND WAIT(レイバー・アンド・ウェイト)』の2号店で初の海外路面店となる待望の新店舗が東京・千駄ヶ谷にオープンした。
僕の大好きな「Playmountain 」の斜め向かいのビルの1F、中心部の喧騒から外れた比較的静かなエリアに個性的なショップが点在するこの場所を選んだオーナーのこだわりにセンスを感じる。元々メンズウェアのデザイナーだった2人が2000年に立ち上げた『レイバー・アンド・ウェイト』が取り扱っているのは、掃除道具にキッチン用品、文房具にガーデングッズ、アパレル、バッグなど暮らしにまつわる様々な道具(ツール)。共通しているのは「完成度が高く、形が美しく、機能的なもの」「歴史の厳しい試練のなかで生き残ってきたもの」「過去の遺物ではなく、今も、そしてこれからも通用するクラシックなもの」という条件を満たしたアイテムたち。ブランドありきではなく、アノニマスなものを含めこのショップのコンセプトに合うものだけが厳選されている。ファッションデザイナーといえば常にトレンドの最先端で毎年新たなデザインを生み出すのが仕事なわけだが、その対極とも言える“変わらないことに価値があるもの”を扱うショップにシフトした振り幅の大きさが実に興味深い。その丁寧なセレクトは反響を呼び、ロンドンのショップは不動の人気店に。千駄ヶ谷のショップに足を踏み入れれば人気の秘密はすぐにわかるだろう。オーナーの確かな審美眼、機能を突き詰めた道具だけが持つ美しさ、アットホームな空間と心地よい接客。たとえ小さくてもこういうショップが東京のトラディショナルな存在となりずっと変わることなく支持されていく、そんな一過性ではない成熟したマーケットが確立していくことを切望している。