『BEHIND THE TRACKS with artist : RYUICHI SAKAMOTO × WING SHYA』
映画「母と暮せば」オリジナルサウンドトラックの制作現場を追ったドキュメンタリー写真展『BEHIND THE TRACKS』が2015年12月12,13日の2日間限定で「Red Bull Studios Tokyo」にて開催された。坂本龍一氏にとっては2014年7月に中咽頭癌のため治療・療養に入って以来、約1年ぶりの仕事復帰がこの映画音楽の仕事になる。
『BEHIND THE TRACKS』とは
写真展といっても教授(親愛の情を込めていつもの呼び方で)が実際に作曲、レコーディングを行なったスタジオでの開催ということで、使用したピアノ、直筆の譜面、レコーディングミキサーなどを直に見ながら現場そのものを体験できるという少人数限定のエキシビション。外の喧騒を一切遮断したスタジオの静寂の中に響く琴線を揺さぶる旋律、教授のインタビューやレコーディングの様子を編集した貴重な映像と共に時間を気にすることなく心ゆくまで堪能できた。音楽制作の現場をまさに追体験できる本当に贅沢な時間だった。
Wing Shyaについて
会場に展示されていた写真家ウィン・シャのドキュメンタリーフォトがとにかく素晴らしかった。彼は僕も大好きな映画監督ウォン・カーウァイの代表作でスチールを担当したり、数々のTVCFやMVなどを手掛ける映像作家としても評価が高く、ドキュメンタリーでありながらも映像的でドラマティックな写真は今回のエキシビション全体を一つのアートに昇華させていたように感じた。
かなりすっきりとスリムになった教授だが、こうしてまた現場に戻ってきて素晴らしい作品を届けてくれることがファンにとっては最高の朗報だ。映画のサウンドトラックとしてだけでなく、教授が初めて1年間休養をとり自身の生と向き合い沢山のインプットしたものからどんな意味ある作品が生み出されたのかそのメッセージを是非とも聴いて確かめてみたい。