僕がこれからも着続けるシンプルで心地よい洋服

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僕は最新のトレンドを追いかけるようなタイプではないが、ファッションは大好きで毎年それなりの金額を洋服に投資することに何の疑問も持たなかったし、むしろそれが時代の方向性や空気感を一番察知できる手段だと思っていた。

洋服は伊勢丹メンズ館やバーニーズ、ユナイテッドアローズなどのセレクトショップで、担当スタッフから新作入荷の連絡が来ると見に行って気に入れば買うというパターン。僕の好みは完全に把握されてるから「これ絶対好きですよね」って勧められると断われなくて買わざるをえなくなる(笑)。別にそれで良かったし自分で探さなくていいので楽とも言えるし。でもそうやって買った洋服は次の年にはちょっとしたディテールが古く感じて結局は着なくなってまた新しいものを買うという大量消費のスパイラル。そういうのにだんだん疲れてきたというか、もちろんお金ももったいないし。だから最近はずっと着続けていけるアイテムを厳選して本当に気に入ったものだけをワードローブに加えていくようになった。元々デザインがシンプルなものが好きだから、ジルサンダー、プラダ、ギャルソンなんかのベーシックなものは残しつつそこに少しずつ新たな定番を足していくイメージ。そんなわけで最近購入したこれからも着続けていくお気に入りの洋服をご紹介。

YAECAのコンフォートシャツ

以前の僕の好みとはちょっと違うテイストだが、本当に良いものを知るとそれだけでいいと思わせてくれたいわば僕の価値観を変えたのが『YAECA』というブランドとの出会い。漢字にすると「八重日」、日々重ねていく快適で上質なデイリークローズ。一見すごく普通でシンプルなデザインだが、とにかくこだわって丁寧に作られたことがすぐにわかる洗練された日常着はまさに今のスタンダードと言える。ヤエカの代表的なアイテム、コンフォートシャツを最近購入したが、名前の通り快適で肌触りの良い着心地、着脱容易なスナップボタン、また両サイドにあるポケットが何気に使いやすく、まずデザインありきではなく使い勝手から生まれた必然の機能美というのか、こういうのがずっと長く日常を共に重ねていける洋服なんだと思う。

平林奈緒美デザインのボックスがカッコよすぎる

靴下も定番入り決定

Graphpaperのイージースラックス

数々の人気ショップを手がけてきたディレクター南貴之氏がセルフプロデュースした今最も注目されているセレクトショップ(厳密に言うとセレクトではなくキュレーションらしい)『Graphpaper』。まるでギャラリーのような話題のリアルショップには残念ながらまだ行けていないが、待望のウェブストアがオープンしたのでオリジナルのイージースラックスをさっそく購入してみた。ウエストがアジャスターになっているので自由にサイズを調整することが可能。生地もサラッとしたドライな肌触りで気持ち良く、適度にテーパードがかかっているので履き心地はゆったりだけどシルエットはカジュアルすぎない絶妙なバランス。これは一度履いたらもう手放せない。

店名にちなんで包装紙も方眼紙というこだわりよう

すぐに品切れになる人気商品なので在庫があるうちに

adidas Originals by HYKEのトラックパンツ

『HYKE』とは知る人ぞ知る人気絶頂の2009年に突然活動休止した「green」のデザイナー吉原秀明氏と大出由紀子氏が2013年活動再開するとき新たに立ち上げたブランド。以前「情熱大陸」でも取り上げられたそのこだわりの服作りは相変わらず健在。その『HYKE』と『adidas』がコラボした新ライン『adidas Originals by HYKE』が以前から気になっていて、基本はレディースラインだがデザインはユニセックスだし、トラックパンツの大きいサイズなら履けるかもと思って購入したらこれが大正解。クラシックなジャージパンツを現代的にアレンジし、どんなコーディネートに合わせてもストリートぽさが加わってカッコよくなる。今後ヘビロテ間違いなし。

自分がとことん吟味し納得し厳選したものだけに囲まれていたいという思いが強くなるにつれて、身に着ける洋服が流行に左右されず定番化していくのは自然な流れ。本当に上質で着心地が良く飽きのこないものを作り続けているお気に入りのブランドさえ見つけてしまえば、あとはそこの洋服を買い直していくか買い足していけばいいだけになる。あまりストイックになりすぎず、肩の力を抜いてお気に入りの日用品を選ぶように洋服とも付き合っていければと思う。