『ポスタルコ』最初の直営店があった京橋に新店舗オープン

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京橋の古いビルに『ポスタルコ』最初の直営店がオープンしたのが2004年。あの旧式のエレベーターで上のフロアに向かう時のタイムスリップ感は半端なかった。でもそのロケーション含めてポスタルコの独特の世界観に僕は魅了された。

案の定その古いビルは再開発のために取り壊されることになり、ポスタルコは確か2012年の暮れに僕のホームタウン渋谷に移転してきた。東急プラザ裏手のちょっと怪しいエリアの古い雑居ビルで「Flying Books」の上のフロアと知って僕は内心ニヤッとした。こういう普通じゃない場所を選ぶのがポスタルコなんだと。必然的に僕がポスタルコのショップを訪れる機会は圧倒的に増え、事あるごとに渋谷の喧騒から逃れ、静かな時間が流れる居心地の良い空間にタイムスリップした。

そのポスタルコ2番目の直営店が、京橋に完成した新しい商業施設にオープンすると聞いて正直意外な感じがした。確かに京橋はポスタルコのルーツとも言える場所ではあるが、真新しいビルはポスタルコに似合わないと勝手に決めつけていた。しかし実際に新店舗に足を運んでみて、その思い込みは杞憂に終わった。ポスタルコの世界観を見事に表現したこだわり抜いた空間がそこにはあった。デザイナーのマイク氏がこれまで収集してきた実にユニークなコレクションや創作物が店内のあちこちに配置され、まるで宝探しのような面白さがある。ただ商品を並べるだけではなく、そのアイデアソースや商品開発のプロセスなどもディスプレイされていて時間を忘れて見入ってしまう。オリジナルの什器は渋谷店同様ポスタルコらしさの最大の見せ場。ここはポスタルコのショップであると同時に、クリエイションの原点を体験できるアトリエのような場所でもあると感じた。岡本仁氏の新著「ぼくの東京地図。」のあとがきに載っていたマイク氏の言葉が興味深い。「この店では、古いものに頼りたくなかったんだ。古いものを使うと、ある種のムードは簡単につくれてしまうからね」。マイク氏のこの姿勢にポスタルコのさらなる挑戦と次なるステージを期待せずにはいられない。